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近くのビデオショップに行って、DVDを借りてきた。『野火』である。塚本晋也監督が若い頃、大岡昇平の『野火』を読んで是非とも映画化したいと考えて生み出した力作である。幾つかの賞を得て、非常に評判の高かった映画であった。

大岡昇平の『野火』は実際にフィリピンのレイテ島で経験したことを語っているのでリアリティがある。ただ、小説の方は、文字での描写なので悲惨さは若干薄められている。しかし、このDVDでは、徹底的にリアルに画像で描いている。そのために、見ていてつらい。気持ち悪くなる。しかし、これが戦争の現実だと思う。見たくないが、見なければならない映画だと思う。

70年以上も昔、レイテ島で起こった出来事を忠実にリアルに描いている。映像だとストレートにその不気味さ、悲惨さが伝わり、まさしく地獄絵である。日本兵たちはウオーキング・デッドのようにただ、ただ逃げまどうだけである。

さて、ストーリーは、太平洋戦争の末期、場面は肺病を病んだ田村一等兵が部隊から追い出されて病院に行くようにと命じられるところから始まる。5日分の芋を持たされて、病院に行くが、すぐにそこも退院させられて、原隊復帰を命じられる。敵だけでなくて、味方からも追放されるのだ。そんな場面から始まり、あとは、日本軍の敗残兵たちがフィリピンのジャングルをただただ敗走していく。

逃げる途中で田村一等兵はいろいろな仲間に加わる。食料が尽きると、人肉を食べるか否かの問題が生じる。実際にあったことなのだろうと思う。飢餓状態があり、横には、かっては人間だった、命の消えた肉体が転がっている。必然的に人の肉体を食べるということになる。

これが戦争の現実なのだろうと思う。ただ、ただ、田村一等兵が見た地獄を忠実に描いているだけなのだろう。グロさが一杯で、子どもには見せられない映画である。大人でも、見たあとは後味が悪いと感じる人がいるだろう。

塚本晋也監督の映画撮影の方針は、戦争はグロであり、そのグロさはオブラードに包まずに、そのままストレートに描くという方針だ。その方針は成功している。

このDVDを見て楽しむことはできない。ただ、戦争の本質を知るという意味で、人間を覚醒させる効果がある。