フィリピンでの麻薬犯罪者の殺害は世界的に見てもかなり異様であることは間違いない。読売新聞からの転載だが、アメリカ国務省は人権報告書で強く非難している。
【ワシントン=大木聖馬】米国務省は、世界各国・地域の2016年の人権状況を分析した「人権報告書」を公表した。
ドゥテルテ大統領が強権的な麻薬取り締まりを進めているフィリピンについて、昨年7月から半年で6,000人以上の麻薬犯罪者らが殺害されたと指摘し、「超法規的な殺人」が急増していると非難した。
報告書は、フィリピンの麻薬取り締まりについて「最も深刻な人権上の問題は、自警団や治安部隊らが殺人を実行しているとされることだ」とし、フィリピン政府が人権や法手続きを無視していると問題視した。
オバマ前米政権は、フィリピンでの麻薬取り締まりの手法を強く批判してきた。ドゥテルテ氏はこれに反発、両国関係がこじれた。(読売新聞 3/6(月) 10:25配信)
今、フィリピンでDavao Death Squad (ダバオの死刑実行団)が注目を浴びている。退役した警察官であるArthur Lascañasが、良心の呵責に堪えかねて、ダバオでの麻薬犯罪者たちの殺害について証言(告白)をしている。今日は上院で彼の証言が行われている。

この証言はついては、だいたい本当のことを証言していると思われる。ドゥテルテに反対する自由党の議員たちは、大統領攻撃の絶好の材料ができたと飛びついている。
死刑実行団が殺害した遺体はある警官の所有する石切場に埋めたが、それらは掘り起こされたとか、まだ残っているとかいろいろな噂が飛び交っている。
Lascañas の証言が続くと、ダバオでの麻薬犯殺害の実体が分かっているのだが、これがドゥテルテ大統領の弾劾に結びつくかというとそれは関係ないと思う。
現時点では、大統領に対する国民の信頼は強くて、麻薬犯の殺害をすべきだという大統領の意思に対する国民の強い支持がある。
ただ、大統領に反対する自由党の議員たちは、アメリカや国連の人権委員会に報告している。それに基づいて、人権報告書が作成されたわけだが、フィリピン国内の政争に利用されている面もある。