2016-01-29
台湾の馬英九総統は1月28日に、南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島で台湾が実効支配する太平島を初めて訪問した。これによって南シナ海の緊張にさらに火が注がれるのではという懸念の声がある。
そもそも先日の選挙で国民党は民進党に敗れて政権交代が確実視されている。それなのに、なにゆえにこんな時期に訪問したのか。やはり歴史に自分の名を残したいという思いなのか。あるいは、長らく訪問したいと思っていた太平島に、政権末期になり対外的な心配はしなくていいと考えて訪問したのであろうか。台湾の南シナ海の島々への態度は注目しておく必要がある。
さて、皆にシナ海の海域の支配に関してはフィリピンも関心を持っている。現在、フィリピンのスービ礁を中国が埋め立てて滑走路を作ろうとしている。そのことにフィリピン人は大変な反発を感じている。下の地図を見て欲しい。赤い点で示された中国の主張する領域は各国の海岸沿いまで及んでいる。あまりに強引である。
フィリピンの人々の中国に対する反発は強い。フィリピンは以前から、国内の経済力を握る中国系住民に対する反発が強い。華僑は昔から商売が上手だと言われている。団結して朝から晩まで働く中国系の住民に対して、のんびりとした風土文化に育ったフィリピン人は太刀打ちできない。華僑や華人の持つ富に対しての嫉妬心は強いものがある。
フィリピンで起こる誘拐事件はよく中国系住民が対象になる。金を持っているというイメージがある。中国人団体が警察に特別な措置を依頼したこともある。
さて、中国系住民も昔に移住した人々は土着化が進み、中国系というイメージはなくっている。たとえばアキノ大統領も元来は中国系だが、そのようなイメージはもうない。それどころか、大陸中国に対しての反感を抱いているようだ。だんだんと存在感が高まる巨大な中国に対して、どのように対処していくか、アジア各国の大きな問題になってきている。