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ドゥテルテ大統領がフィリピンという国名を新しく真にフィリピンにふさわしい名前に変えようと考えているようだ。昔、マルコス大統領はマハルリカ(Maharlika)という名前にしようと考えたことがある。その試みをドゥテルテ大統領は2月の演説の中で触れている。具体的にどのような名前にするかは明らかにしていないが、昔、マルコス大統領の提案したマハルリカなどは十分に可能性のある名前であろう。
確かに、フィリピンという国名は当時の植民地支配国であったスペインの王族の名前だ。フェリペ王子(のちのフェリペ二世)にちなんで、当時の植民地支配者が名付けた名前だ。自分の国の歴史を紐解けば、植民地に支配された過去は拭い去りたい時代である。その時代と関連する国名は変えたいという気持ちもわかる。
ただ、現代のフィリピンはあまりにもスペイン文化に深くはまり込んでしまった。現在話されるフィリピノ語(タガログ語)の語彙はスペイン語由来の語が多くて、スペイン的な要素を排除したら、今の言語が成立しない。
さらには、フィリピン人の名前の多くはスペイン系の名前である。スペインの植民地時代に名前をつけるように奨励された。おそらく税金を取るために人をきちんと同定して租税台帳に記入したいという意図だったと思われる。とにかく、現在ではスペイン系の名前をつけている。それは、自分の祖父母やその代々前の時代からの名前と信じられている。つまりスペイン系の名前に愛着を感じているのだ。
この件に関して、フィリピン人に意見を聞いても、改名の可能性に対して否定的だ。あまりに深くフィリピン人の文化に入り込んでしまっている。変化するとしても、徐々に国民の関心を高めて、大多数が改名に賛成するようになるまで待つべきとの意見だ。要は、時間がかかるだろうとの意見だ。
ただ、いまドゥテルテ大統領はイスラム勢力との連邦国家を目指している。その時は、スペインというカトリックの代表的な国の王族名に由来する名前ではなくて、もっと土着の名前が選ばれる可能性がある。要は、国名の改名はイスラム勢力との連邦国家が成立するかどうかと関係するようだ。連邦国家が成立する、その瞬間に国名の変化が生じるかもしれない。