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前大統領のベニグノ・アキノに関して幾つかの噂がある。あまり良くない噂だ。ドゥテルテの支持率は高いので、どうしても前大統領に対して風当たりが強くなるようだ。
1986年のエドッサ革命の時にマルコスの一族はアメリカへ亡命した。ボンボン・マルコスは元大統領のマルコスの息子だが、かれは自分が使用していた豪華な車をフィリピンに置いてきた。その車を誰が使うのかと思っていたら、ベニグノ・アキノが使ったそうだ。
また、イメルダ・マルコスはたくさんの宝石やバッグを持っていたが、コラソン・アキノ大統領の家族、特に娘がちゃっかりと自分のものにした。アキノの一家が私物化したというのだ。
これらは噂だから、どこまで信憑性があるか分からない。ただ、そんな噂が流れるほど、国民のアキノ一家に対する不信感は強い。ドゥテルテが今でも高い支持率を誇っている。しかし、政敵である自民党は何かとドゥテルテと対立している。ドゥテルテの政策に対して何かとケチをつける。そんなことから、国民は自民党、そしてその象徴であったアキノ家に対しても、厳しい態度をとるようになってきている。
フィリピンは腐敗の絶えない国である。たとえば、関税に関しても不正が起こる。税関に関与する政府高官は輸入車の関税を課さない代わりに、輸入業車から車を一台贈与されることがあった。しかし、ドゥテルテが脱税に厳しい政策をとるようになり、政府高官たちは贈与された車を受け取ることが難しくなった。
港にはそんな贅沢車が何台も残っている。引き取り手が現れないのだ。現れたら、即、厳しい尋問が待っているからだ。ドゥテルテはそんな贅沢車を集めてブルトーザーで破壊して処分した。そんな贅沢車でも転売して国庫の収入しにしたらと思うが、そんなことをしようとしたら、そのプロセスでまた不正が発生するだろとドゥテルテは考えたようだ。
ドゥテルテの清貧さというイメージは国民の間に強く印象付けれれている。彼は連邦制を唱えている。今までは中央政府が税金を集めてその金を地方政府に配布していたが、配布の過程で多くの不正が起こったのだ。連邦制にして、地方政府がお金を集める。そしてその金を地方政府が自分で使うほうがすっきりする、との考えだ。
地方政府が税金の徴収と予算執行をする場合でもやはり不正は起こるだろう。ただ、プロセスが短いので、不正の起こる頻度は少ない。つまり、中央が地方から税金を徴収して、それから各地方に予算を再配布するとなると、そのプロセスが極めて長い。プロセスが長いとその過程の至る所で、不正を誘発してしまう。
ドゥテルテの唱える連邦制だが、果たして実現するのか。上院と下院と法案を通さなければならないが、可能だろうか。