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自分は昨晩は『野火』を見た。大岡昇平の『野火』は今まで2度映画化されている。昨日は初めに見たのは、ビデオショップで借りてきた版であり、2015年に塚本晋也監督のもとで製作されたものである。

かなり感動したので、続いて、最初の映画、1959年版の市川崑監督の『野火』をYouTube で見た。このような中身の濃い映画がYouTube で見られるということはありがたい。

塚本監督の2015年版は、カラー撮影で、グロさをかなり強調している。しかし、市川崑監督の1959年版は、白黒の画面であり、グロさはさほど強調されていない。

ともに見応えのある映画だが、個人的には1959年版の方が安心して見られる。画像が白黒で対象が遠くなり、自分は第三者的な立場から、見ることができるのだ。2015年版では色鮮やかな画像で感情移入をしてしまい、見るのがとても辛い。

日本軍が来るまでは平和であったレイテ島。そして住民によるゲリラ活動は次第に激しくなる。1944年に、米軍はまずこの島に上陸して、それからフィリピンの各島へ反抗しようとしたのである。

(20年ほど前に、マニラの軍人の墓の近くでレイテ沖海戦の様子を記録したモニュメントを見たことがある。そこには、レイテ沖海戦で、日本軍を打ち破ったことが、フィリピン解放につながったと記してあった。モニュメントの写真を何枚か撮影したのだが、今は見つからない。代わりに墓地の写真を載せる)

空港の南にある軍人墓地

フィリピンの人々が映画の出てくることは稀である。もっぱら、日本兵の間の関係、芋を取りあったり、塩を分け合ったり、殴ったり殺し合ったりする様子が描かれる。

時々、フィリピン人の村へ入って食料を調達しようとする。その時に、主人公は、一人のフィリピン人女性を殺すのだ。決して豊かでないフィリピン人の村に行って、食料を強制的に召し上げるのであるから、恨みをかったことは容易に想像できる。

映画の後半で米軍のジープに一人の日本兵が降伏しようとしたら、ゲリラの女性兵士が容赦なく撃ち殺す場面があった。ゲリラの日本兵に対する憎しみを象徴する場面であった。

日本軍はゲリラ狩りをして、マカピリという対日協力者を使ってゲリラを密告させた。日本軍が村を占拠すると、誰がゲリラであるかマカピリが教えるのである。マカピリは籠を頭にかぶって、顔を見せないようにして、ゲリラを指さすのである。そしてゲリラは処刑される。村人は誰がマカピリであるかは分かっていたので、戦後はマカピリたちは復讐を受ける。

アメリカはゲリラたちには、年金を与え、その配偶者にも終身年金を与える。子どもたちには大学を卒業するまで学資の援助をする。アメリカ政府のゲリラへの手厚い補償に比べて、日本政府はマカピリやその遺族に対して何ら補償をしていない。

反逆者とレッテルを貼られ、戦後は身を隠すように生きてきた。日本政府からは何も補償を受けていない。このあたり、何かの対策が必要と思うのだが。

さて、話は戻るが、フィリピンに大軍を送り、暴れ回った日本人に、現代のフィリピン人はやさしいように感じる。その点はホッとするのだ。この映画はYouTube で見られるが、参考までにDVDの広告も貼っておく。

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